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慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患とは

気流閉塞や肺の過膨張、ガス交換障害などを生じ、酸素を正常に体内に取り込むことが困難になります。

正常肺と気腫肺

正常肺

COPDの症状

中年以降に発症する徐々に進行する息切れと長引く咳や痰を特徴とします。階段の昇り降りなど体に負担がかかる運動を行った際に息切れを自覚し、進行すると安静時でも息切れを自覚するようになります。

喫煙歴が長く、痰のからむ咳が長引く場合が典型的なパターンです。

COPDの診断と検査

COPDの身体所見である樽状胸郭(肺の過膨張により胸郭が前後径が増大して樽状になった状態)や奇異呼吸(吸気時に胸郭が拡張するのに対して腹部が陥没する状態になる)、口すぼめ呼吸(無意識に息を吸って、すぼめた口から吐き出す呼吸方法)が症状の進行とともに見られます。胸部X線検査や胸部CT検査で肺の構造を検査します。肺機能検査ではスパイロメーターで肺活量や努力肺活量(1秒量と1秒率)を測定し、COPDの診断を行います。

COPDの病期分類

  • 病期分類には対標準1秒量(%FEV1.0)で定義されています。

(1秒率70%未満)

病期 気流閉塞の程度 %FEV1.0
I 期 軽度 80% 以上
II 期 中等度 50%以上~80%未満
III 期 高度 30%以上~50%未満
IV 期 きわめて高度 30%未満

COPDの全身併存症・肺合併症

COPDは長期喫煙により、加齢に伴う様々な疾患が全身性に併存しています。

肺がんとCOPDは密接な関係があり、65歳以上の肺がん患者の約30%がCOPDを合併していると言われています。

肺外の全身併存症

  • 全身性炎症
  • 栄養障害
  • 骨格筋機能障害
  • 骨粗鬆症
  • 抑うつ
  • 睡眠障害
  • 糖尿病

肺合併症

  • 喘息とCOPDのオーバーラップ
    (それぞれの疾患の特徴を併せ持つ病態)
  • 肺がん
  • 気腫合併肺線維症(CPFE)
  • 続発性気胸
  • 肺炎
  • 肺高血圧症

COPDの予防と治療

禁煙治療:COPDの治療に欠かせないのはまず禁煙です。禁煙指導を行い、ニコチン依存症スクリーニング検査(TDS: Tobacco Dependence Screener )でTDS スコアが5点以上であればニコチンパッチやバレニクリンの内服療法が行われます。

各種ワクチン

インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種はCOPDの急性増悪の予防になります。

薬物療法

病期に応じた吸入薬が使用されます。抗コリン薬やβ2刺激薬、ステロイドの単剤もしくは配合剤が使用されます。吸入薬には様々な種類がありますが、患者個々の併存疾患や病状に応じて吸入薬を選択します。痰が多い場合は去痰剤が内服薬で処方されます。

リハビリテーション

COPDによる息切れによる頻呼吸はカロリー消費につながり、呼吸不全の進行とともに痩せが顕在化してきます。呼吸筋のパフォーマンスの維持はCOPD患者のADLの低下を防ぎます。呼吸筋を強化・維持はCOPDの進行のスピードを緩徐化させます。

栄養管理

COPDに伴う呼吸不全は肺の過膨張や気道閉塞による呼吸筋酸素消費量の増大を招きます。COPDが進行すると呼吸困難による食欲不振に陥ります。糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓などの基礎疾患を考慮したタンパク質の摂取などの栄養管理を行います。

酸素療法

低酸素血症のある重度のCOPD患者さんには長期酸素療法・在宅酸素療法が施され、パルスオキシメーターによるSpO2のモニタリングを行います。酸素療法導入により患者さんのADLや生存率が改善されます。

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